「ポケモンGO」の流行でスマホ周辺機器メーカーの株価が上がる程、モバイルバッテリーの需要が急増しています。USBモバイルバッテリーの容量は、日増しに大容量になっていますが、表記どおりの容量を丸々使う事ができれば、空のスマホを何度もフル充電できる計算になります。しかし、「商品の表記容量はウソ!」「iPhoneを充電できる回数は半分でした」など、容量に対する不満のレビューを良く目にします。
そこで今回は、モバイルバッテリーからスマホに充電できる実質的な容量について解説します。
単純計算の勘違い
例えばiPhone6Sの内蔵バッテリー容量は1,715mAhなので、10,000mAhの大容量モバイルバッテリーを使えば5.8回も空からフル充電できると勘違いされている方が多いですね。
少し前までは、Amazonなどで販売されているモバイルバッテリーのほとんどが「iPhone 6に7回以上、Galaxy S7に約5回、iPad miniに約2回の充電が可能」のように単純計算しただけの、誇大タイトル表記している商品が氾濫していました。
しかし現在では、容量表記に対する指導?が入ったようでタイトルから回数表記が消え、割り引かれた充電回数が商品説明欄に書かれるようになりました。
電圧変換ロス?
USBモバイルバッテリーからスマートホンなどの機器に給電する時、必ずロスが発生します。
スマホ給電時には、多くのロスが発生しますが、中でも「電圧の変換ロス」が大きく電気を損失する要因となっています。
「USBモバイル電池(3.7Ⅴ)」から「スマートホン(3.7V~4.2V)」に充電する為に2回電圧を変換する必要があり、この時それぞれ約20~30パーセントの変換ロスが生じます▼
実際に使える容量は、モバイルバッテリー表記の50~60パーセントが給電可能な範囲になります
USBモバイルバッテリー内では電圧3.7Vを5Vへ昇圧する回路が組み込まれており、スマートフォン側では3.7V~4.2Vに降圧する回路により変換されますので、2重に変換ロスが発生する事になります。当然、モバイルバッテリーのメーカーによって昇圧回路の性能が違いますので、同じ10,000mAhでもメーカーによって使える容量が大きく異なります
その他のロス要因
モバイルバッテリーの「iPhone6を○回フル充電可能」という表記は、車の燃費同様に理論値ですので電圧変換ロスに加え、更に何割か割り引いて考える必要があります。
例えば取説には、下記のような説明文がついています
「常温・常湿の環境下を想定しており、未使用のUSBモバイル電源を満充電にした状態とする」
「常温」を20℃±15℃(5~35℃)の範囲としていますが、高温下で使用すると電気が熱に変換されてしまうため、ここでもかなりのロスが発生します。逆に寒い中での充電もロスが発生しますし、自然放電や湿度・バッテリーの劣化状況などの要因も加わってきます。
実際に充電できる回数は、単純計算でモバイルバッテリー容量の半分と考えて購入すべきでしょう。
後記
Amazonで販売されている多くのモバイルバッテリーは、「10,000mAhでiPhone6s(1,715mAh)が4回フル充電」と、容量の70%弱の数値を表記するようになってきましたが、数か月前までは5.8回と100パーセントの充電効率で書かれていました。今考えると本当に悪質な確信犯ですね。
また、安定していて人気のパナソニックセルですが、Panasonicの公式FAQページ内には「片側が70%の効率でも、70%×70%=トータル49%の効率となります。USBモバイル電源から電池容量通りの容量を引き出すことはできません。」と書かれています。幾らがんばっても6割以上の容量を引き出す事はできないという事ですね。
私も多くのモバイルバッテリーを使っきましたが、結局は安定の「cheero」「Anker」に落ち着いています。
数年前、知人が夏フェスで3日間、自前で充電するためにスマホ容量の3倍と単純計算して、その倍を持って行ったにも関わらず、全く足りずに現地の「無料充電ステーション」に並んでお世話になったと話していました。それ以来、ソーラーチャージャーを買って自家発電しているようですが、夏フェスでは盗難が多いので怖くて放置できないと嘆いていました。
タカシ

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