夏休みも後数日で終わりですね。毎年この時期になると、新学期を前に夏休みの宿題が大量に残っていて、半べそで終わらせていた事を思い出します。
特に夏休みの自由研究は、ネットの「オススメの夏休みの自由研究」をパクったり、出来合いの工作キットを組み立てて持って行くだけという“やっつけ提出”もありますが、それでは味気ない。先生たちもウンザリしています。
そんな時は、古地図アプリを使う事で、暗渠(あんきょ)になった川の調査や、歴史の現場の地理についての調査など、色々なテーマで自由研究が捗ります。
古地図アプリについて
私はかなり前に「江戸~東京重ね地図」というパソコンソフトを購入して、歴史小説を読む時に使っていました。散歩に行く時も、史実を調べてから現地を歩いていました。
その後、「今昔散歩重ね地図」に進化して、江戸・明治後期・東京のマップを重ねて表示できるようになりました。「今昔散歩重ね地図」は、少し前までは、スマートホン用のアプリもあったのですが、現在は廃盤となっています。
しかしながら、似たような古地図アプリは他からもリリースされているので、私はスマホでは2種類の古地図アプリを使っています。
古地図散歩 時代を重ねるマップ
開発: 合同会社四時舎 評価 無料 |
大江戸今昔めぐり
開発: BeMap, Inc. 評価 無料 |
暗渠の調査
例として、息子が5年生の時に夏休みの自由研究の課題に調査した「川の街だった渋谷と暗渠※とネズミ」のテーマを元に、アプリの活用方法を紹介しておきます(雰囲気だけです)
最近、渋谷の街中に溢れるネズミが話題になっていますが、渋谷はもともと川に囲まれていた土地で、その川が暗渠化されているのでネズミが大量に住んでいても不思議ではありません。息子は、私がニュースを観ながら何気なく教えた「渋谷は暗渠の街」の事を覚えていて、夏休みの自由研究の題材に選んだようです。
渋谷川、宇田川、河骨川など、水が豊かな街で、渋谷川には江戸時代から大正時代半ばにかけ、水車がいくつも架かっていました。
「春の小川は、さらさら行くよ。岸のすみれや、れんげの花に~♪」でお馴染みの「春の小川」は、大正時代、渋谷川の支川「河骨川」がモデルとなって、高野辰之に作詞されたものと言われています。春の小川は、渋谷をテーマにした暗渠の調査には一番使える素材です。
現在では、山手通りと井の頭通りが交差するあたりの小田急線代々木八幡駅近くに「春の小川」の石碑がたっています。
Googleで調べると「昭和31年の河骨川」などの、暗渠化される前の写真も見る事ができます。確か息子はそれらもプリントアウトして、レポートにまとめていたと思います。
自由研究に、Googleストリートビューのスクリーンショットを使っては、手抜きと怒られそうですね。できれば現地に行って暗渠に沿って歩いて写真を撮影したいところです。
高野辰之の住居跡も残っています▼
渋谷区の役所のサイトにも渋谷川の昔の様子のPDF資料, その2があります。
古地図アプリで調べる
アプリの使い方は、どちらも簡単です。地名を検索して、マップを重ねて表示するだけ。
「大江戸今昔めぐり」で「春の小川」の石碑付近の江戸時代のマップと重ねてみます
もしかしたら、川の上は土地が開いているので、利用して線路を敷設したのかもしれません。
さらに「古地図散歩 時代を重ねるマップ」を使って、同じ場所の明治初期と1930年を表示してみます。
国土地理院のマップを使わせてもらうと、等高線なども表示できるので更に状況がわかります。
都会では等高線は分かりませんね▼
更にあらゆるデータや写真、地図が参照できるので、起伏図や、土地のデータを調べる事ができます▼
「春の小川」の石碑付近の起伏図▼
こんな形で流れていたんでしょうね。
明治時代の低・湿地地帯のマップを重ねると、川の流れに沿って低地になっています▼
古地図アプリで夏休みの自由研究・散歩まとめ
どこまでの区間が何のタイミングで暗渠になったのか?今はどんな使われ方をしているのか?など、調べるときりがありません。
都会では暗渠化されている上水など、調査範囲を広げても良いですね。
今回は分かりやすく渋谷の暗渠を例にとりましたが、自分の住んでいる付近の暗渠を調べても面白い事があると思います。
東京に限らず、暗渠になる前の上水の石碑が立っている事も多いです。地元の郷土資料館にも色々な資料があります。
渋谷川の下流の古川は、歌川広重「名所江戸百景」にも「広尾ふる川」として登場しています。現在の様子を取材するのも楽しそうですね。
暗渠が綺麗な川であった時代を想像すると、夢が膨らんで幸せな気持ちになります。
ちなみに私は、高校時代、今でも暗渠化されていない渋谷川の隣にあった学習塾に通っていました(現在の渋谷ストリーム裏)。人より暗渠に対する想いが強いのは、そのせいだと思います。
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